「――始め!」 沖田の開始の声と同時に妃絽は先制攻撃を仕掛けた。 勢いよく竹刀を振り下ろすが、それは呆気なく斎藤に止められ、追撃された。 やはり、二ヶ月で辞めた妃絽と武士として育てられた斎藤とでは差がありすぎる。 それに加え、左利きの斎藤の構えは癖があり、どうしても打ち込みにくく、受け止めにくい。 「く…っ、やりにくいな。でも、負けない」 妃絽は不敵に笑うと、斎藤の追撃を受け止めた。 そこからは激しい攻防戦だった。 しかし、決着がつくのに時間はそうかからなかった。