それなのに…。 「何で、こんなにもどかしいんだよ…」 妃絽がいなくなってから何か物足りないのだ。 それは幼い頃に大切なモノをなくした時の虚脱感。 土方自身、今までこんな気持ちを幼い頃以外味わったことはない。 特に女となれば、皆無に近かった。 しかし、今は己の感情を支配している。 「何なんだよ、この気持ちは…」 土方は髪を掻きむしると文机に突っ伏した。