「さて、そろそろ行くか」 妃絽は気を取り直し、時越池の前に立った。 一歩踏み出せば、池に落ちる。 その一歩を踏み出そうとしたが、妃絽は何かを思い出したように夏樹達の方を振り返った。 「行ってきます!」 妃絽は戻って来ることのない時代でも、そう言って去りたかったのだ。 そして、妃絽は池の中に向け、一歩踏み出した。 さよなら、私の家族――…。 妃絽は目を閉じ、そう心の中で呟くと水面に引き寄せられるようにその身体は池の中に消えて行った――。