「妃絽ッ!」 突然聞こえた声に妃絽は飛び込むのを止めた。 声の方を見れば夏樹や繭、齋と施設の職員、子供達がいる。 皆、走って来たらしく息を切らしていた。 「何で何も言って行かないんだよ…ッ!俺達は今まで一緒に暮らした家族だろ…?」 「…っ」 妃絽は言葉を失った。 そうだ、家族はお父さん達だけじゃなかったのだと――。 すると、繭は目を真っ赤にしながら妃絽に近付いて来た。 「馬鹿妃絽」 「ごめん…、繭」 妃絽が謝ると、繭は妃絽に抱き着いて来た。