「別に一緒に暮らすのが、嫌な訳じゃないよ。でも、私には行かなくちゃいけない所があるんだ」
「行かなくちゃいけない所?」
櫂人が鸚鵡返しをしてくると、妃絽は頷く。
「うん。幕末の京都に」
妃絽の言葉に両親と櫂人は動揺していた。
おそらく、そんなことは有り得ないと感じているのだろう。
幕末は今から百五十年以上前の日本だ。
有り得ないと思うのは当然だ。
妃絽も当初は有り得ないと思っていたが、実際に幕末に行ってみて有り得ないことではないと感じた。
妃絽は両親と櫂人に幕末にタイムスリップをしたことを話した。



