「…一応ね」 妃絽が答えると、安心したように両親の息を吐く声が聞こえた。 何故、そんなにも緊張しているのかと妃絽は疑問に思ったが、ふとあの日の自分の態度を思い出した。 あの日、妃絽は一緒に暮らさないかと言った両親を怒鳴り散らした。 一度手放した子供とは言え、そんな言われたら、緊張をしているのも頷けた。 そんな両親に妃絽は自分の出した答えを話した。 「ごめん、私は一緒には暮らせない」 妃絽の言葉に両親と櫂人は哀しそうな顔をしたが、妃絽は言葉を続けた。