「まずい!ひとまず、あんたは何処かに隠れ――、って、いない…」 しかし、いつの間にか影時は姿を消していた。 「妃絽?」 ドア越しに繭の声がする。 妃絽は影時を姿が消えたことに驚きながらも、ドアを開けた。 「ごめん、繭。何?」 「ご両親と櫂人君が来たよ。応接室に来るようにって」 「うん。着替えてから行く」 「分かった」 繭は頷くと、階段を降りて行った。 部屋のドアを閉めた妃絽はクローゼットを開け、服を取り出す。 それに着替えると、両親と櫂人が待つ一階の応接室に向かった。