「どうしたの、妃絽?様子が変だよ」



繭が心配そうな顔で妃絽の顔を覗き込んで来た。




「ごめん。私、部屋に戻るわ」



妃絽は繭にトングを渡すと、三階の自室に戻った。



部屋に戻った妃絽はベッドに寝転び、身体を丸めた。



静かな室内には外の賑やかな声がよく響く。



「私はどうすれば良いんだ…」



今の妃絽は幕末を選ぶか現代を選ぶという選択の他に、本当の家族と暮らすか暮らさないかという選択をしなくてはいけなかった。