櫂人はどちらかと言うと大人しい部類に入る性格をしているようだが、賢そうな顔をしている。 現に彼が着ている制服は妃絽が通う高校と一、二を争う進学校のモノだ。 「…そう。ねぇ、櫂人?あの人達…、両親はどんな人達?」 妃絽の質問に櫂人は苦笑を漏らすとベンチに寄り掛かり、指を組んだ。 「優しい人達だよ。いつも俺のことを気にかけてくれてる。それに…」 櫂人はふと口を閉ざした。 これは話すべきなのかと迷っているように見えた。 それでも、意を決したように再び口を開いた。