談話室を飛び出した妃絽は庭の木の下にあるベンチに身体を丸め、座っていた。 「今更何なんだよ…」 先程妃絽は身勝手な理由で迎えに来た両親に怒りをぶつけた。 そうすれば、気持ちもすっきりすると思った。 しかし、実際はますます怒りが込み上げて来た。 それは両親に対するモノなのか、迎えに来てくれたことを素直に喜べない自分へのモノなのか分からない。 「何なんだよ…、私は…」 ――パキッ。 自虐的になり、顔を伏せる妃絽の耳に枝が折れる音が聞こえた。 顔を上げると、妃絽によく似た少年が立っていた。