「妃絽?」 「夏樹…、お前はこのことを知っていたのか?」 妃絽は顔を伏せたまま夏樹に問うが、夏樹は何も言わない。 つまり、肯定しているようなモノだった。 「…そうか。私だけか、知らなかったのは…」 妃絽は口角を持ち上げると、自嘲を漏らす。 『俺達はお前が生きていて良かったと思ってる。お前は俺達には必要な存在なんだよ』 彼らは妃絽にそう確かに言った。 しかし、実際は違っていたらしい。