屯所の自室に着いた土方は荒々しく羽織を脱ぎ捨て、その場に寝転がった。 開け放たれた障子から月光が差し込み、彼の顔を照らす。 「くそったれ…ッ」 頭から妃絽の顔が離れない。 彼女は最後に今にも泣きそうな顔を土方に向けていた。 土方は腕を額に乗せると、唇を噛み締めた。 ふと月の光が途切れる。 腕の隙間から外を見れば月は雲に覆われ、その姿を消していた。 「何で、もっと早く隠れねぇんだよ…。そうすれば…」 あいつらは…、妃絽は未来に帰らずに済んだんだ――。