「いい加減に機嫌を直してくれないか?」



見知らぬ男がそう言って来るが、妃絽は完全無視。



「せめて、名前を――」



「近藤さん!何で、間者かもしれねぇ奴の機嫌をうかがうんだよ!アンタは新選組の局長なんだぞ!そんなことしなくて良いんだよ」



妃絽の機嫌を直そうとする男を昨晩会った美丈夫が叱った。



叱ったと言っても、その眼差しは妃絽達に向けるそれに比べ、優しさが感じられる。



それ程、彼は男を信頼しているようだ。