――カタリ。 土方は書物を書き終え、筆を置いた。 「そろそろあいつが帰って来る頃か…」 腕を上に突き上げ、背伸びをした。 今まで座っていたせいか、身体中の至る所が痛む。 「副長はん、俺や」 「山崎か。おう、入れ」 障子越しに聞こえた山崎の声に土方が答えると、彼は部屋に足を踏み入れた。 中に入って来た山崎はいつもと雰囲気が違っていた。 真剣な面持ちの中に哀しみに入り混じっている。