揺れる水面 映る月影は何処から



「繭達なら許してくれるよ」



夏樹は妃絽の頭を撫でる。



大半の毒を吐いている相手である夏樹だが、妃絽が落ち込む時はいつも慰める側に回る。



日頃、毒を吐かれているというのに彼は妃絽を恨むこともない。



おそらく、生まれた時から共に育ち、共にいたからそういう想いはないのだろう。



そんな夏樹だからこそ、妃絽は弱みを見せることが出来るのかもしれない。



妃絽は夏樹に頭を撫でられながら、小さく頷いた。



そんな二人を見ていた山崎はその場から静かに離れた。