「最初は私も戻りたかった。でも、こっちで生活してて、彼らが私を必要としてくれた。だから、私はこっちに残る」



妃絽の言葉で、妃絽と夏樹の間で重苦しい空気が流れる。




喧嘩にならないか山崎は不安だった。



すると、夏樹は諦めたように溜息を吐いた。



「妃絽ならそう言うと思った。分かったよ、俺もこっちに残る」



「夏樹…」



「それに君を残して俺だけ帰ったら、父さんに殺されそうだしね」



夏樹は肩を竦め、笑った。