揺れる水面 映る月影は何処から



これ以上ああだこうだ言っても、妃絽は断固して薬は飲まないだろう。



彼は最終手段に出た。



「飲まねぇなら、仕方ねぇ。俺を恨むなよ」



そう言うと、土方は湯飲みを傾け、それを口に含んだ。



「何であんたが――、んくっ!?」



両頬掴まれたかと思うと、彼の唇が妃絽のそれに触れた。



妃絽は薬の浸入を防ぐ為、口を閉じようとした。



しかし、口の端と顎を彼の指で固定され、出来ない。



口の中に苦い液体が入り込み、喉を流れて行く。



「ん…くっ!何すんだよ、土か――、っう!」