「ああ、そうだな。今まで戦いをしていたのが嘘みてぇだ」



「こんな綺麗な月夜だったら、竹取物語のかぐや姫が月から降りて来そうですね」



冗談半分に言う青年の言葉に美丈夫は呆れたように溜息を吐いた。



新選組一の剣士と呼ばれる青年が言うにはあまりにも乙女のようだったからだ。



竹取物語はあくまで空想であって、事実ではない。



それにかぐや姫は月の姫で自分のいるべき場所に帰ったのであって、帰って来ることはまずないだろう。



「お前なぁ…、ガキや女じゃねぇんだから、あんま――」



「「―――――――――」」



「ん?今、空から何か聞こえませんでした?」



青年の問いに美丈夫は頷くと、もう一度空を見た。