揺れる水面 映る月影は何処から



夏樹はそんな彼女を強く抱きしめた。



「俺が妃絽を守ってあげる…。妃絽を守って、愛してくれる人が出来るまで俺が守るから」



そう言葉をかけると、妃絽は頷き、火が付いたように泣き始めた。



彼女を傷付けない為に隠していた真実が逆に傷付けてしまった。



その悔しさに夏樹の頬に冷たい雨とは違う雫が伝った。



そして、その日から妃絽は自分で自分を守るように強気になり、今に至る――。