そこには――。 『私達は男の子が欲しかった。私達にはこの子を育てられない。名前は【妃絽】です。よろしくお願いします。 望月』 と綺麗な字で書かれていた。 妃絽は手紙を床に落とすと、身体を折り曲げながら笑い狂った。 「私はいらない子供か…。だったら、最初から産まないで欲しかったよ…」 涙を流しながら自嘲気味に笑うと、妃絽は部屋を飛び出した。 慌てて夏樹がその後を追う。 追った先にたどり着いたのは屋上。 妃絽は柵を飛び越え、今にも飛び降りようとしていた。