揺れる水面 映る月影は何処から



「ねぇ、父さん。妃絽にそろそろ真実を話した方が良いんじゃない?」



ふと園長室の僅かな隙間から夏樹の声がした。



妃絽はマキに静かにしてるように言うと、聞き耳を立てる。



「夏樹…。でもな…」



「死んだ母さんとの約束だから?でも、いつまでも真実を隠すのは…」



「じゃあ、夏樹は言えるか?妃絽は女だからいらないと言って、生きている両親にうちに預けられたって」



妃絽は目を見開いた。



そして、妃絽は唇を噛み締め、園長室のドアを勢い良く開けた。



「妃絽…」