すると、それに気付いた妃絽はマキに視線を合わせ、ニコリと笑みを向ける。 「初めまして、マキちゃん。私は望月妃絽、よろしくね」 マキも自然と笑い、妃絽に抱き着いて来た。 人懐っこく、笑顔の可愛い女の子だった。 しかし――。 「ママに会いたいー!ママぁ!!」 母親に会いたいとぐずることが多かった。 マキの母親は精神病を患い、入院している。 父親はなく、当てになる家族もいないため病状が安定するまで、マキは時の都に一時的に預けられることになったのだ。