「ん?口うるさくて、俳句を書くことが趣味な女ったらしの鬼副長です」
「総司ッ!」
「あっははは、鬼が怒った」
憎まれ口を叩く青年だが、顔色は青白い。
おそらく、この憎まれ口は美丈夫に心配かけない為の彼なりの気遣いなのだろう。
「ったく、てめぇは昔から変わんねぇな」
「そう簡単には変わりませんよそれより、見てください。綺麗な月です」
青年が目を細め、月を見ているのを見ると、美丈夫も空を仰いだ。
そこにはあったのは満ち欠けの欠けを知らない丸い月があった。
空に居座るそれは漆黒の闇を照らす黄金色の光を放つ。



