そして、今彼女のお腹にいる子供は医者の反対を押し切ってまで産むと決めた我が子。



臨月が迫る今だからこそ安静にし、無事に子供を産んで欲しいのだ。



「もう少し、もう少しだけ雪に触れさせて」



江里は雪に触れながら、そう答えた。



先程から雪に触れ続けている彼女の手は赤くなっている。



齋がその手を取り、自分の手で包んで温めてやると、江里はやんわりと微笑みながら仰ぎ見て来た。



そんな彼女の笑みを見ると、齋も自然と笑顔になる。