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十八年前の十二月。


この日は寒く、空はどんよりとした雲に包まれていて、今にも止んでいた雪がまた降りそうな天気だった。



そんな空の下、夏樹の父――、齋(イツキ)は身重な妻・江里(エリ)と時の都の庭にいた。



春になると桜が美しい庭は今は白に包まれ、その面影はまったくなかった。



「江里、そろそろ中に入ろう?また風邪でも引いたら大変だろ。君もお腹の子供も…」



江里は身体が弱く、身重になってからもよく風邪を引いては入退院を繰り返していた。