「失礼します」
そして、共に離れの部屋に入った。
やはり、部屋の中にいたのは長州訛りのある男達が四人いた。
男達に食事を渡すと、妃絽達はすぐに部屋を出た。
「じゃあ、ひさちゃん。戻ろうか」
「あ、ごめん。先戻ってて」
妃絽は鈴と別れると、裏口に向かった。
そこには、山崎が門柱に寄り掛かりながら立っている。
「山崎さん」
「妃絽、どうやった?」
「やっぱり、此処の料亭は長州の敗残兵を匿ってた」
「旅客とちゃうかんか?」
「うん。刀差してたし、部屋の角に脱ぎ捨てた長州の紋が入った甲冑があった」
妃絽の言葉に山崎は確信を得たようにハッとした。



