「ありがとう、土方さん…」



「はっ?」



すると、妃絽は土方の横を通り過ぎる時にそう呟いた。



土方が慌てて妃絽の方を振り返ると、彼女は耳まで真っ赤にして歩いていた。



「可愛いげのねぇ女だな…」



土方は頭を掻くと、妃絽の後ろを追うようにして走り出した。



すると、天王山の山道から下りて来る永倉達が目に入った。



永倉達曰く、長州の奴らは残らず腹を斬っていたらしい。



「ごめん、土方さん」



妃絽は自分のせいでタイムロスしてしてしまったことを謝った。