10月に入って急に冷たくなった風が、昼間のぽかぽか陽気に油断して薄着のまま外出してしまった私の身体を、遠慮なく撫でていく。

 午後17時25分。
 歩道の傍の電燈がちかちかと灯りだした頃、私は待ち合わせ場所に向かう為、暗くなりだした東京の街をひとりで歩いていた。

 …なんで私薄着で出てきちゃったんだろう、めちゃくちゃ寒いじゃない。

 一応長袖を着ているものの、薄い生地のものを選んだせいでかなり寒い。
 身を刺すような冷たい風が吹いて、眉をひそめつつ、少しでも寒さから逃れるために首元を服に埋めた。