私は何をしてきたんだろう。

私は何をしているんだろう。

私は何をしようとしている…?

昨日まで強固だと思っていた足元が、今にも崩れそうな音を立てる。

復讐。

それ以外考えていなかった。
いや、考えないようにしてきた。

挫けそうになる度に家族の無残な最期を思い出し、自分を奮い立たせてきた。

なのに…


『心は自由であるべきなのじゃ』


鬼が言った。

憎悪と復讐の対象である、鬼が。

解放されてもいいんだろうか。
自分の人生を生きてもいいんだろうか。

悲しみが消えることはないだろう。

だが、それを飲み込み、乗り越えて、自由に…

いや、考えるな。
思い出せ。

あの、愛する者の血で彩られた光景を。