背を向けて去ろうとしたのだが後ろからぶわっと身の毛もよだつ程の妖気が溢れるのを感じた



「ひと月後と言ったがそなたを無事に帰すわけなかろう」



「っ」



振り向いたときには遅かった


口許にあてていた枝垂れ桜の枝を一振りし、十六夜の肩に斬撃が命中し肩から大量出血した



だが十六夜も羽織の下に隠して背中の帯にさしていた刀を出しすばやく斬撃を繰り出し璢美苓の頬と足に傷を負わせた





「!……ふっ。白夜叉でなくとも相手にはふさわしいの。ではまたな、ひと月後だぞ」



背筋が凍る笑みを浮かべ黒い煙を身に纏い消えていった



そしてすぐあとに天堂が駆けつけ、十六夜を抱え、連れ帰った