「ばあさん、大丈夫か?」


「えぇ、っ…ありがとうねぇ」



笑って答えているが痛みを耐えているのが分かる。顔をしかめて股関節をさすっている


「おい、氷買ってこい。それから救急車呼べ」



琉威たちを見ることなく告げた。足音が聞こえたから誰かが走ってくれたらしい。周りを見ると片方の靴が脱げて杖と鞄が転がっている


「ばあさん、何があったんだよ?」


「何でもないんだよ…」



"そーそー。ただぶつかってばあさんが勝手に転んだ…それだけよ?"



何かされたに違いない。だが男たちが居るせいで何も言えないのだ



「いいから言ってみ?」


背中を擦りながら問うと小さい声で話し始めた



男たちが前から横一列に並んで歩いて来たため隅で止まっていると老婆が見えているのにもかかわらず向かってきて杖に足を引っかけて、バランスを崩した老婆が歩道から転げ落ちたらしい