白無垢を纏った十六夜が座敷に現れると百鬼たちや十夜たちから感嘆の声がもれた
静かに花嫁の席まで行き鎮座した十六夜には綺麗に化粧が施されている
角隠しでほとんど顔が見えないが、ほんの少しそこから見える伏せた目は色気を感じさせた
「ではこれより――」
普段の百鬼たちからは考えられないくらいの厳粛した空気の中、執り行われた
三三九度や総大将の言葉もあった
それは十夜たちと百鬼たちが併わさることも含まれていた
それについては誰一人として反対するものはおらずむしろ喜んだ
それから程無くして祝言は無事終わった
十六夜は白無垢を脱ぎいつもの着流しを着ていた
新たな百鬼夜行は座敷で皆と飲んで騒いでいる
獅蛇も酒を飲みあかして百鬼たちを困らせているに違いない
騒ぎ立てる気分ではないため、こっそり抜けてきたのだ
朔を失ってから絶望の日々、いつ光が見えるのか不安で不安でたまらなかった
だが"あのひと"と出逢った

