「十六夜~、ちょっと出かけてくるな」



「えぇ、いってらっしゃい」


朝、台所を覗いて出かけることを告げた天堂。振り向いて言った十六夜に笑って出かけた










竹林の中の獣道を歩いて向かった先は雁蔵と鶴の家。本家から歩いて30分程度。小さい古びた家だが二人でひっそり暮らすにはうってつけだ




「おーい、邪魔するぞ」



古びた格子をとんとん叩いて雁蔵を呼ぶとがらがらと開いて出てきた



「おおっ、総大将!…どうされましたかな、呼んで下されば行きましたのに」



「お前足腰悪ぃし、このあとも出かけるしな…」



「そうか…上がってくだされ、茶でも出しまする」



「おお」



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「影狼…」


縁側に座っていた十六夜の足元にすりすりしてきたのは鼻をすんすん鳴らした影狼




「どうしたの?」


抱き上げて膝に乗せると影狼は十六夜を見上げて尻尾を振った