「――なんだ、そういうことか…」


溜め息を吐いた皆を見てこっちが溜め息吐きたいよと思った琉威



学校にいる間から琉威は頭が痛くて、それを隠して十六夜に会いに来たが気づかれてしまったため額を合わせていたのだ



そしてちょうど雷斗たちが一足遅れて到着したため口づけしているように見えたのだ




「琉威、やっぱり少し熱かったよ。今日帰れそう?」


「…分かんない、ちょっと怠いし眠い」



熱とさっきの出来事で顔をさらに赤らめた琉威を見て、十六夜は隣の部屋へ続く襖を開けて入り、布団を敷いた



「琉威、ちょっと抱き上げるね」


琉威の膝裏と背中に手を差し込んで抱き上げると隣の部屋の布団の上に下ろして出て行った


雷斗たちもその部屋へ移動して様子を窺っていると十六夜が戻って来て、その手には水を張った盥と手拭いを持っていた



傍に座り、水を絞った手拭いを琉威の額に乗せるとゆっくりと目を開けた



「ごめん、十六夜さん…みんなも…」


熱で弱っているせいか、目を潤ませて皆を見上げる琉威



「ん?謝らなくていいの。季節の変わり目だからね……よく寝て治ったら送ってあげるから」


胸の辺りをとんとんと叩いていると安心したように眠ってしまった