今は午前十時頃 人間がたくさん、浜辺を埋めつくしている 浜辺の隅に大きな岩があるためその岩に隠れた、足首が海に浸る程度の浅瀬で影狼と遊んでいた 影狼は目の前に広がる海に好奇心丸出しで一人で走り回ったりしていた 遠くには人間には見えない、巨大な『海坊主』が顔を出して手を振っているため、手を振り返したりしていた 海にもいろんな妖怪がいるため退屈はしない 浜辺に座り、影狼が遊んでいるのを見ていると――― 「十六夜さん!?」 聞き覚えのある声が背後から聞こえた