床に置いてある灯籠に灯を灯した天堂。すぐさま橙色の灯りが暗い部屋を照らし二人を淡く映していた




「…ずっと会いたかった」


天堂が囁くが十六夜からは顔が見えない。顔が見たいと思った十六夜は向きを変えて向き合った。天堂は十六夜の腰に腕を回して引き寄せた


「…私もです」




微笑んだ十六夜に合わせて微笑んだ天堂は十六夜の頬に手を添えて顔を近づけちゅっと口づけた


久しぶりの口づけに十六夜は頬を染めながらも嬉しそうに微笑んだ




「無事だとずっと信じてた…」



「ごめんなさい、ずっと…あの時の約束守れなくてごめんなさい」


「あの時?」


「夫婦になった時、海に連れていってくれた…その海での約束」



思い出した、確かに何百年も前の話。桜李が継ぐまで傍で支える……覚えてくれていたのか。その気持ちだけで嬉しいと笑った



急に切なそうな表情になった天堂に十六夜は眉を下げて天堂の胸に頭を預けた。とくん、とくんと心地いい鼓動に目を閉じた



「でもまたこうできて嬉しいです…」


胸にすりすりしてきた十六夜にふっと笑って十六夜の頭を撫でて頬を乗せた



「ワシもじゃ…」



そう言って見つめ合った二人は自然に近づき口づけを…だんだん激しくなっていき、もつれ合いながら倒れて床を敷く間も無く12年ぶりに…