────ピピピ ピピピ

朝5時。

いつもより早い時間に目覚まし時計が鳴り響く


 ─────ピピ…カチャ


音が止まりまた静かな時間が流れる。


「ふぁぁ・・・」


それからお下がりの初めての制服を着る。


制服をきてから昨日何回も中をチェックをした


カバンをもってしたに降りる


できるだけ音を立てないように



まだお父さんやお母さんは


まだおきていない


するとそこへお母さんが眠たそうに


パジャマ姿で現れた


「おはよう、今日早いじゃない」



お母さんは驚いたように言う


「入学式だもん」

「それにしてもはやいんじゃない?」

「いいの!」


だって入学式ってめちゃくちゃ大事じゃん


髪型だってどうするかまだきまってないのに…





私はそのまま台所に向かい食パンをトーストに入れる


4月はすごく肌寒い季節

ほかにすることがなくて


手をスリスリする


チンッという音が鳴りまたトーストに食パン

を入れる


いつも朝食を用意するのは私


別に頼まれてしているわけではない


自分から率先して家事をお手伝いしている


「ぉ、夕奈か、今日はまたいつもよりはやいなぁ」


いきなり台所にあらわれたスーツ姿のお父さん


「入学式なの」


私は2回目のチンッという


音とともに食パンをとりだしながら言う


「ぁあ、そぅか」


ちょっと期待した私。


入学式来てくれるんじゃないかって


私の親は共働きで一日中仕事


唯一朝だけは家族みんないる


今日の入学式だって誰もこない。





 いいなぁって思う人も


いるかもしれないけど


実際式というものに


でてくれないというのは


結構さみしい


でもなれてるから。


共働きだったらそんなことよくあること


実は卒業式もでてもらってない


でも涙はこらえた


心配かけるのはやだから。


「今日はお偉いさんからたのまれた

 仕事の都合で出張なんだ」



そっか、だから今日はスーツなんだ


お父さんは椅子に座ってチンした


食パンにマーガリンをぬって


むしゃむしゃ食べている。



私も食パンをささっと食べて


鏡の前に座る。


髪型どうしよう…


まぁいっか、おろしたままで


せっかく髪型自由な高校なんだから


中学生の時みたいに2つぐくりは


やめておこう


私は髪をきれいにくしでといて


玄関に向かう


これまたお下がりのローファー


をはいて外へでる


カバンを肩にかけてよしっと


「いってきまーす」


そう言うと私はバス停にむかった


バスで40分。


新しい学校についた

ここは────第一高校


桜が学校全体を囲むように


たくさん並んでいた


学校の正門近くではこの学校の


制服を着た生徒たちでごったがえしていた



私は息を吸い込み思いっきりはく。


「よしっ、がんばる!」


そういって私は正門をくぐったのだった。