視界が狭いの。


45度ほど俯いていることと、黒くてボサボサのセミロングの髪の毛が、顔にかかっていることが原因。


だって。


どうするの?


もし、前を向いて顔をしっかり上げた途端に、誰かと目が合ってしまったら。


「貧乏人」「ドブス」「キモイ」


この言葉が浴びせられるに決まってる。


それか、心の中で嘲笑われる。


や、それよりもね、こんな醜い私をあなたの視界に入れてしまいましてごめんなさいーーーー!


って考える方が、きっと正しい。


だからわたしはこうやって


俯いたまま、顔をかくし、うっすらと存在しているしかないのですよ。


《んー。外は息が詰まる。ヤダヤダヤダヤダ!早く帰りたい…》


焼きたてパンのいい香りが漂う、学園内のカフェの前で、ふと立ち止まる。


中には、綺麗な洋服で着飾った高校生たちが、わいわいとおしゃべりをしているようで。


《なんだあのキラキラとした人たちは!わたしと人種が違う…神様の意地悪》


どんなにお洒落な学校に通っていたって。


どんなに可愛い人を羨んだって。


わたしは全く変わらない。


可哀想な女。