スタジオに着くとマネージャーは真剣な顔で私を見た。
「な、なんですか?」
「これ、1回歌ってみろ」
「は?」
「良いから歌ってみろって」
私はマネージャーの強引な態度に怒られるのではないかと若干ビクビクしながら歌った。すると、私の考えとは逆の言葉をもらえた。
「よしよしよし、完璧じゃないか。雅人君の力は偉大だな。吉野さんにも聴いておいてもらいたいから1回レコーディングするぞ」
私は言われるままもう一度歌った。いつものように雅人の事を想いながら…。マネージャーは根拠の無い自信で満足そうに笑い。
「これはイケる。吉野さんの曲だけでも俺は気に入ってたけどSERINAの歌詞乗せただけでこんなに違うとは…」
ご機嫌なマネージャーに今なら良いかと聞いてみる。
「これから雅人のとこ行っても良い?」
「あー…吉野さんも居ないし良い働きをしたぶん行ってきて良いぞ」
「有り難う御座います!」
私は承諾を得ると雅人に会いに行く事にした。歌詞を作ったり曲を作ったりする時はそれに集中しないと駄目だと雅人から言われているので病院には行かないようにしているから、会える喜びに即タクシーを呼んだ。