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「ヒナタっ、一緒に帰ろ」



いつの間にかクラス公認になった私達。
一緒にいる機会も自然と増えて、今日は放課後デートの予定。
最近、心なしか表情も豊かになってきた(周りは変わらないっていうけど…)し、いい感じ♪



一緒にいた木村君達にバイバイして、教室を出る。
半歩前を歩くヒナタ…斜め後ろからの顎のラインと揺れる黒髪の絶妙なバランスが好き☆
何回見ても見飽きない。萌えるわ~♪

それに。
廊下の窓から吹く風に乗せて、ふわっと私の鼻をくすぐる香水の香りがまた堪らなくて。
つけたての匂いも良いんだけど、変化したあとの…特に放課後頃の香りが大好き(マニアックって言われるけど)なの。
思わず抱き着いてクンクンしたくなる。



「あれっ?今なんか良い匂いしなかった?」




すれ違う生徒からそんな声が聞こえてくると嬉しくなる。

でしょ?ヒナタの香りなんだよ♪って一人で満足しちゃうんだ。





「どこに寄ろっか」

「……どこでもいいけど」

「お腹空かない?」

「…空いた」

「あはっ♪じゃ先に何か食べよ」

「ん…」




はたから見ると、倦怠期のカップルの会話みたいに聞こえるらしいけど。
私達にしてみれば、まだまだ初々しさが残るラブラブな会話なんだよ。




靴を履き変えて、昇降口を出る。



「あっつ~」


手の平をかざして、なんとか眩しさを遮る。
すっと前に出て、残暑厳しい日差しを遮ってくれるヒナタの背中。優しいなぁ。
ぽわっと胸が温かくなって、嬉しくてヒナタのシャツをキュッと掴んだ。
情報によると、男の子って体温高いから夏場に腕組むの、暑くて辛いんだって。だから、なるべく暑くない方法で側に寄ろうと思って。
もちろん冷房効いたところでは腕組みたいけどね♪

そうして、ヒナタと歩いている時だった。
前方の校門付近に、がらの悪そうな男子生徒が数人たまってる。