Dearest

アキとサミュエルが家に帰ると、何やら言い合う声が響いていた。



「ちょっと、何喧嘩してるのよ」



アキがリビングに入ると、そこにはラヴと傷だらけのアシュリーがいた。




「なんでそんなに怪我をしているのかと聞いているんです」

「うっせぇな!!ラヴには関係ないだろ」

「アシュリー、あなたにそんな怪我を負わせた奴を私がボコボコにしに行くと言ってるんです。何があったか話して下さい」



意図が反れていくラヴをアキが止めた。




「ちょっとラヴは黙ってて！」

「…はい」



渋々了承したラヴは、ふてくされたような顔をして紅茶に手を伸ばした。


そんなラヴを横目に、アキはアシュリーに近寄ると知らずと涙が流れた。



「…アシュリー、手当てしよう。…アシュリーが痛いの嫌だよ」



アキが泣きながらそう言うと、アシュリーは何があったのかを話し始めた。




「…暇だからコンビニ行ったんだよ。そしたら、いつもコンビニの前でたむろってる高校生にガキのくせに金髪なんて生意気だって…殴られた」



悔しかったのか、微かに震えるアシュリーをアキは抱きしめた。




「話してくれてありがとう。さっ、手当てしよう？アシュリーこっちおいで」



アキは深く追求するのでも慰めるのでもなく、アシュリーの手当てを始めた。


プライドの高いアシュリーにとって、その態度は嬉しかった。