ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal

 煙草の旨みを吸い込み、仕事疲れのため息と共に細く口から紫煙が吐き出される。



「ん? 何見てんだ?」




「え? あ、あの……ああ、私も何か飲み物頼もうかな」




 ふと一条の横目の視線とぶつかりドキリとして、慌ててメニューを広げた。




「あれ? 奈央ちゃんはこれでしょ?」




 目の前に出されたブルームーンを見て奈央は思わず吹き出した。



 ブルームーンはジンベースの甘口カクテルだ。


 菫色のパルフェタムールが幻想的な色合いを醸し出している。




「おい、それって俺への嫌味か?」




 一条は北川を軽く睨むと、北川は笑いを堪えたように首を振っている。



 ブルームーンには意味があり、多くは男性からの告白を無言で断る時に用いられる。




「一条さん、ブルームーンにはもう一つ意味があるの知ってますか?」



 奈央は憮然とした一条を宥める。




「完全なる愛って意味があるんですよ」



「……」



「……」