「ん? どうした?」


「い、いいえ! なんでもないです。それより、一条さん……その身体の具合は……」



「ああ、夢中でお前を求めてたら、具合が悪いなんてことすっかり忘れてたな」



 そう言って、髪の毛を掻きあげながら一条は呑気に笑っていた。



「もう、私は本気で一条さんの身体の具合を心配してるのに、早く良くなってもらわないと……って、い、一条さん?」



「……」



 さっきまで笑っていたかと思うと、奈央の言葉が終わらないうちに微かに寝息が聞こえてきた。



 頬をつついても一条は全く目を覚ますことなく眠っている。


 奈央はそんな様子を見ながら思わず顔を綻ばせて、軽く頬にキスをした。



「おやすみなさい、明日になったら良くなってるといいですね」