神崎紗矢子は抱きしめ合う一条と奈央の姿を遠目で見つめていた。

 ただ目に映るふたりの様子を無心で眺めていた。


「そんなところで盗み見とは……いいご趣味ですね」



 その時、紗矢子は自分の背後に気配を感じ徐に軽く振り向いた。



 背が高く、端正な顔立ちをした美丈夫な男が立っている。


 紗矢子はその美麗ながらに獲物を捕らえて離さない鋭利な双眸にふと気づく。