「……本当に、馬鹿なやつだな……俺にこんな思いさせるなんて、本当に馬鹿な女だ」



「……ごめんなさい」



 そっと頭を撫でて全身を包み込む抱擁に眩暈がしそうになる。


 奈央はそれに応えるように、その身に自身をすり寄せた。



 一条のぬくもりに包まれると、悔しさ、惨めさ、憤りといった冥い感情が一気に消え去っていくような感じがした。