奈央は注がれる一条の視線を一身に受け止めて、震える足でのろのろと立ち上がった。


 どうしようもないその緩慢な動きに微妙な苛立ちを覚えた。


 奈央が唇を噛み締めて一条を射るように見つめると、平坦なその表情がふわりと和らいだ。




 「早くこっち来い、その冷え切った身体……嫌ってほど抱きしめてやるから」


「ッ……」