―――一条さんに会いたい。


 その思いが孤独の深淵を浮き彫りにした。


 白い壁にかけられている時計を見るとすでに六時をまわり、コンテスト開始の時刻はとうに過ぎていた。



『諦めちゃだめ! もしかしたらまだ間に合うかも知れない! でも、こんなことになって……一条さんに合わせる顔がない』



 奈央は自分がどうすべきなのか考えれば考えるほど、頭の中が混濁して軽く眩暈を感じ、額を手で抑えた。



『なんて最悪なクリスマスなの……』



 奈央は意を決して迷いを振り切り、外に飛び出していった。