「あ、待ってください! 車に乗っていきませんか? 寒いし」


 奈津美は助手席から降りて、奈央を後部座席に促した。


「え? い、いいよ、すぐそこだし」



「私もアルバンホテルに用事があるんです。仕事で……だから乗ってください」



 奈央は躊躇したが行き先が同じなら……と思い、奈津美の言葉に甘んじた。



「じゃあ、一緒に連れて行ってもらおうかな」


「はい」