「今日の牡羊座のあなた、何事もあきらめが肝心。大勝負にはでない方がいいでしょう」



 大勝負の今日に限って不吉なことを言うと、奈央は顔を曇らせた。

 仕事は休みだったが身体が落ち着かない、ベッドにもう一度潜り込んで微睡んでみようかと試みたが目が冴えてしまい、そのままがばりと起き上がる。



 コンテストまでの時間をどう過ごそうか考えなくてはいけない。


 奈央は両腕を胸の前で組ながらバスルームへ向かった。



 シャワールームから出ると、体が冷えないうちに服を身に付け髪の毛を乾かした。


 ♪~~♪~~♪


 髪の毛が乾ききって、ドライヤーの電源をちょうど切ったと同時に携帯が鳴った。


 画面に映し出されている番号は見覚えのないものだった。


 一瞬このまま無視してしまおうかとも考え躊躇した。



『携帯に出る』



『携帯を無視する』