「ん……」


　耳元でけたたましく目覚ましのアラームが鳴っている。


　意識が徐々にはっきりしてくるとそれは耳障りで、奈央は叩くようにして停止ボタンを押した。


　うっすら目を開けるとカーテンの隙間から朝陽の光が差し込んでいる。



『今日は晴れか……ついにこの日が来ちゃったな…』



　卓上カレンダーの二十五日の日が赤丸で括られている。



『一条さん、今日仕事だっけ……私、昨日どうして謝れなかったんだろう』



　今でも一条の声が耳に残っている。


　奈央が昨日一条に電話をした理由は声が聞きたかったというよりも、一言謝りたかったからだった。


　一条は信じて自分を選んでくれたというのに、それに向き合うのが怖くてつい仕事に逃げてしまった。


「はぁ……」



　ため息を付きながらテレビをつけると、いつもの天気予報と今日の占いコーナーの番組が映し出された。